海外企業が日本でビジネスを成功させるために絶対必要な5つのステップ
日本でブランドを立ち上げる際、いったい何に気をつければ成功を収めることができるのでしょうか。今回は、日本市場でビジネスを成功させるための5つのヒントをご紹介します。
日本は、世界第三位の経済大国です。非常に強い経済を誇っており、市場拡大を目指す海外企業にとっては、高い可能性を秘めた理想的な進出先といえます。
しかし、海外企業が日本でビジネスの基盤を固める際、自国市場でうまくいった方法が日本でも同じように成功するわけではないことを理解する必要があります。日本には独特の文化があり、他国の文化と本質的に大きく異なります。そして、これはビジネスにも大きく影響を及ぼします。
では、日本でブランドを立ち上げる際、いったい何に気をつければ成功を収めることができるのでしょうか。今回は、日本市場でビジネスを成功させるための5つのヒントをご紹介します。ぜひ、ご参考にしてください。
1. 日本の消費者がどこで買い物をするのか理解する
日本のオンラインショッピングの普及率や頻度は、他国と大きく異なっています。例えば、アメリカでは、消費者の約4分の3がオンラインで買い物をしたことがあり、オンラインショッピング利用者の40%以上が週に1〜2回ほど商品を購入しています。これに対し、日本では大多数の人が今でも実店舗での買い物を好む傾向があります。
一方で、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響から、ここ数年で日本でもEコマースが急速に台頭しました。日本で最もよく使用されているオンライン・マーケットプレイのアマゾン、楽天、ヤフーでは、2020年1月から2022年4月の間に平均購入単価が17%上昇しています。こうした状況を考慮すると、オンラインでの営業活動を完全に見切ることは得策とは言えません。
こうした背景から、日本のマーケティング戦略に関しては、実店舗とオンラインの両方に注目する必要があります。また、販売する製品の種類によっても、マーケティングのアプローチは変わります。このため、対象となる業界に関して深い知見を持つことが重要です。
2. 製品の価値を訴求する
インフレの進行や、物価の上昇、上がらない賃金などの影響により、現在の日本の消費者は支出に対して慎重になっています。マッキンゼーの調査でも、日本の消費者の54%近くが「将来の買い物は家計の収入に直接左右される」と回答しています。
このように消費者の警戒心が高まる中、ブランド・ロイヤリティは徐々に失われつつあるようです。そして、その代わりに、消費者はいま「価値」を求めています。
業種に関わらず、日本市場に参入を目指す全ての企業は、自社製品が消費者に「どのような価値」を提供するのかを洗い出しましょう。そして、その「価値」を明確化に伝えていく努力が大切です。
3. 消費者のエンゲージメントを学ぶ
高級ブランドを日本で成功させた場合は、消費者の期待をしっかりと理解する必要があります。
日本で高級ブランドを購入する消費者は、ショッピング体験そのものに重点を置いています。特に販売員の対応は重要です。また、実店舗とオンラインの両方をうまく使い分けて活用しており、下記のようなブランドを優先して選んでいます。
- 誕生日など記念日のプレゼントや、パーソナライズされた割引を提供しているブランド
- 一人ひとりに合わせたパーソナルな提案を行う販売員のいる店舗
- オンラインギフトや手紙を提供するブランド
4. 消費者動向・世界のトレンドを定期的に把握する
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、世界と同様に日本経済にも大きな打撃を与えました。現在では、感染状況が落ち着くにつれ、経済は回復傾向にあります。しかし、今もなお、ロシア•ウクライナ戦争などの影響による物価高や、円安、インフレの危機に直面しています。
多くの消費者が、来年にかけて生活費の上昇を予測しており、財布の紐を締めています。ですが、同時に、何年も制限されていた外食やショッピングモールへの出入り、旅行などに意欲を見せる人も多くなっています。
日本市場で成功を収めようとする海外ブランドは、世界で起こっている出来事を注意深く観察し、それが日本の消費者にどのような影響を与えるのかを理解する必要があります。
変化の激しい現代では、2か月前に真実であったことが、今はもう変わっているということが多々見られます。そして、今、真実であることが、2か月後には変わっているかもしれないのです。めまぐるしく変化する世界の状況をタイムリーに把握し、その動向が日本の消費者にどのような影響を与えるかを、しっかりと分析して理解するようにしましょう。
5. 日本向け広告の作成 IN JAPAN
日本は世界でも有数の大きな広告市場ですが、地元のブランドや代理店が独占しているのが現状です。このため、海外企業が日本市場で成功を収めるためには、次のいずれかを行う必要があります。
日本の広告を見たり読んだりして、深く理解しましょう。広告内容を精査し、日本の消費者に対して、各ブランドがどのように訴求を行なっているのかを研究・分析しましょう。
日本市場進出のあらゆる段階において豊富な経験を持ち、日本の消費者に効果的にアピールするマーケティング戦略を作成できる現地のマーケティング・エージェンシーにサポートを依頼しましょう。
一般的に、日本の広告は、消費者との間に印象的なつながりを築くことに重点を置いています。製品やサービスの利点を宣伝することにはあまり重点を置いていません。このような消費者との接点づくりを理解することは、異なる文化の中で育った人々には簡単ではありません。
もしくは、日本の多くの広告、特にビジュアルやビデオを使った広告は、外国人の目には、宣伝している製品やサービスに関する情報でごちゃごちゃしているように映るかもしれません。
日本の消費者の好みを理解できる現地のマーケティング・パートナーの存在は、日本市場におけるビジネスの成功を左右する重要な要素です。
日本の消費力
2021年、日本の人口は1億2500万人超に達しました。年代別の人口比を見てみると、65歳以上が28%以上、15~64歳は59%強となっており、強い購買力を持つ層が多くいることを示しています。
支出に関して慎重な消費者が多くいる一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大によって制限されていた生活から元の生活に戻りたいという強い欲求を持つ人も少なくありません。
業種を問わず、海外ブランドが日本市場で成功するためには、日本の文化や消費習慣を注意深く観察し、理解を深めることが必須です。その上で、時代性を活用し、日本に与える影響を考慮しながら最適なマーケティング戦略を策定しましょう。